淡路島アートフェスティバル2005
企画の趣旨

 人口約15万人の淡路島は、現在は本州と四国に橋で結ばれているが、島としてのまとまりをもつひとつの地域である。人形浄瑠璃に代表される独自の伝統文化を有し、瀬戸内海国立公園としての風光明媚な景観が広がっている。国生み伝説に彩られた神話の島でもある。本企画は、淡路島に暮らす人々が、島の地域資源を再発見し、その魅力を引き出すとともに、新たな価値を創造し、島民としてのアイデンティティを回復することにより、震災復興の一助とすることを目的とする。

 
淡路島には、地場産業である燻し瓦をのせた伝統的な様式の民家による漁業集落や農村集落が海辺や平野や山間に数多く点在し、個性的で魅力的な景観を形成している。ではあるが、近年は、新建材による住宅が一般的になり、大都市近郊の郊外のような風景が拡がり始めている。1995年の阪神淡路大震災により、古い家屋の多くが失われたことや、著しい高齢化と過疎化により家屋が放棄されることも景観に大きな影響を及ぼしている。このままでは、淡路島は殺風景な郊外となり、さらにはコミュニティとアイデンティティを喪失してしまう。
 
私たちは、こんな状況の中、アートを武器に立ち上がることにした。本企画は、淡路島に暮らす私たちが、島民とともにアートプロジェクトを展開し、島にこれまでとは異なる新たな価値感を創造するためのシステムの構築を模索するものである。
 
本企画は、主軸テーマとして「空き家」に着目する。それらは、伝統的な民家であり、主を失い何の価値もないものとして廃屋となり自然に飲み込まれようとしている。しかし、それらには、本当に価値がないのだろうか。
 
本企画のアートプロジェクトは、複数の空き家を舞台に展開する。人々は、空き家について考えることになるだろう。そして、空き家の近隣に建つ新しい商品住宅について考えるにちがいない。それは、既存の価値観が可視化された風景なのだ。そこに震災後にふさわしいオルタナティブな価値観が浮上する。
  私たちは、島というまとまりのある環境と地域をフルに活用し、ローカルに身を置きそれを最大限尊重しながら、他の地域とつながっていきたいと考えている。そして、ローカルとグローバルの関係を見つめ直したい。

(c)2005−淡路島アートセンター